ワラスのカーニバル、最後のイベントとなるコルタモンテ/Cortamonteに参加してきました。別名をトゥンバモンテ/Tumbamonteと言ったり、ユンサ/Yunzaと言ったりします。元来の言語ケチュア語だと、ワチワリート/Wachiwallito といい、意味は「御木切り」という感じかな。ワチという単語にはただの木という意味ではなく少し尊敬の念が込められているようです。
どんなイベントかというと、野から切ってきた木を地面に立て、枝にいろいろな景品(毛布、座布団、かご、レモン絞り器、フルーツ、水差しなど。主催者により異なる)を絡めて飾り、楽隊が奏でる音楽と共に木の周りを踊りながら、ビールを飲みながら、男女ペア、もしくは一人ずつ斧で切り込みを入れていきます。これを木が倒れるまで続けるのですが、倒れた瞬間がすごい! 参加者が一斉に駆け寄り熾烈な景品争奪戦が始まります(詳しくは動画で)。
ワラスで最も古い地区の一つ、サンフランシスコ地区が午後1時から始めるというので行ってみるも、案の定誰も来ておらず、始まったのは結局3時(定刻通り始まることはほぼない)。飲んで、踊って、切って、木が倒れたのが夜8時でした。伝統に沿って木はカプリ/Capulíを使っていましたが、実は絶滅危惧種。しかしその代わりにちゃんと植樹もするというから素晴らしいです。僕ら外国人にも温かく接してくれて、ビールをくれたり、踊りに誘ってくれたり、斧で切らせてくれたり、動画を撮っても嫌な顔一つせず、本当にありがたく楽しい時間を過ごすことができました。ありがとう!サンフランシスコ地区の皆さん!
◎神話『ワチワリート/Wachiwallitoの起源』
ワラスが位置するワイラス渓谷には氷河をまとった巨大な山や大きな川があり、動植物が非常に豊かだった。ワイラス渓谷の中央に、様々な種類の美味しい果物を実らせる巨大なカプリ/Capulíと呼ばれる木が1本生えていた(現ワラスのプマカヤン付近だそう)。ある時、ひどい干ばつが一帯を襲い、農業や牧畜で生計を立てていた人々は非常に苦しみ痩せ細っていった。ところがその時、一人の美しい女性だけは元気で活力に満ちていた。不思議に思った村人が彼女のあとをつけてみると、カプリの巨木の下に住む蛇が、人々がいけない高い場所まで登り果物を取ってきて、彼女に分け与えていたことを知るに至った。空腹で死にそうな村人たちも蛇に果物を取ってほしいと懇願すると、蛇はその要求を受け入れ、何度も何度も木に登っては果物を取りに行った。しかしあまりにも要求が多く、途中で蛇はヒューヒューと鳴き出し、木の上から空に飛び、白い雲となり、一帯に雨を降らせ、人々を喜ばせた。カプリの木の上部にまだたくさんの種類豊富な果物が実っていたため、人々は喜びと共に音楽を奏で、木の周りで踊り、そのあと木を伐採した(←なぜそこで切る!と大いに突っ込みたくなる)。満足いくまで実を食べた人々は果物の種を至る所に捨てた。するとそこからカプリの木が生え始めた。しかし新しいカプリは多様な果物をつけることなく、黒い房だけが実ったという(バラ科なのでブラックベリーの仲間ですが、形はブルーベリー)。
◎ワラスの人から聞いたコルタモンテの意味
1年に1度、木を切っては立てて、切っては立ててを繰り返し(生死を繰り返し)豊作を願う。前年思うように収穫がなかった人も、今年は気持ちを新たに収穫高が上がるよう祈念します。一方で、賞品や色とりどりのテープで飾られた木が地面(大地の母パチャママ)に倒れることで、豊穣を願う意味もあるようです。
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